放射線科
概要
放射線科は、画像診断と放射線治療とに大きく分けられますが、当院では画像診断を主業務として行なっております。単純X線写真からCT・MRIなどの最先端画像まで、検査で得られた画像をもとに病状についての推定や診断を行ないます。また、他院で撮影された画像をお持ちいただき診断することも可能です。
当院では、CT・MRIなどについて熟知している画像診断専門医が画像診断を行なっています。画像診断専門医とは、医師国家試験取得後、画像診断研修を終了した上で、日本医学放射線学会の画像診断専門医試験に合格した医師です。主治医からCTやMRIなどの結果について説明を受けることがあると思いますが、その間には、まず画像診断専門医が診断を行い、それをもとに主治医が病状を解釈し、患者さんに説明するという過程を経ています。
現在の医療は画像診断なくして成り立ちません。放射線科医に直接会う機会は少ないのですが、皆さんが受ける医療の質を保証し、陰から支えています。
新しいCTの特徴
平成24年7月より最新型64列CTが放射線科に入りました。
以前稼働していたCTはシングルスライスCTと言い、検出器が一個でした。
今回のCT装置は検出器が64個付いています。
64列CTは非常に短時間で広範囲、かつ高精細の撮影が可能で、以下のような特徴があります。
- 心臓の検査ができるようになりました
シングルスライスCTでは動き続ける臓器(心臓)は検査できません。新しいCTは撮影高速化、画像高精細化によって心臓の検査もできるようになりました。わずか10秒前後の息止めで心臓を撮影します。狭心症や心筋梗塞、血管の狭窄などがこの検査でわかります。 - 撮影時間が短く済むようになりました
シングルスライスCTの場合、胸部CTを例にとると、肺全体を撮影するのに息止めが約30秒程度かかりました。そのため、2回に分けて肺全体を撮影していました。新しいCTは10秒弱、1回の息止めで検査が終了します。撮影時間の短縮によって高齢者や容態の悪い方でも身体に負担なく検査ができるようになりました。また、シングルスライスCTでは難しかった撮影範囲の広い大動脈や下肢血管なども短時間で撮影できます。 - 検査の精度が向上しました
頭部(脳)検査ではシングルスライスCTではできなかった脳血管だけを3次元的に表示させることもできるようになりました(この場合は造影剤というお薬を使用します)。この検査によって、脳動脈瘤や血管狭窄などがわかります。また整形領域では、通常のレントゲン写真では分かりにくい軽度の骨折も、新しいCTの高精細な画像で写し出します。 - 体に埋め込まれた金属に強くなりました
CTは従来、金属に弱いです。例えば人工骨頭が入った方の股関節や人工関節が入った膝関節を撮影すると、アーチファクト(検査データのゆがみ)が出てしまい画像が汚く見にくくなります。新しいCTはフィリップス社の64列CTですが、このCT装置には金属アーチファクトを大幅に軽減する機能(O-MAR)が付いています。今までは金属が埋め込まれた付近の診断は難しかったのですが、この新しいCTならば金属が入っていてもきれいな画像ができます。
図.人工関節が入った股関節のCT画像(左:従来、右:新しいCT) - X線被爆線量が少なくなりました
CTはX線を使って画像を作ります。新しいCTは被曝線量を低減できます。X線が少ないと通常は画像が汚くなります。新しいCTは使うX線を減らしても、画像をきれいに作る機能が付いています。経過観察で何度もCT検査を受けられる方、放射線感受性の高い若年層の方、健診の方などの検査に非常に有効です。
放射線科からのメッセージ
CTは検査自体に負担が少ない上、新しい高性能なCTになったため、検査中の息止めや検査時間の短縮によって患者さんにより優しい検査となりました。放射線科の技師は新しいCTで患者さんに優しく、かつ見やすく診断に適した画像を作り出せるよう心がけています。
疑問や質問、検査について不安なこと等ありましたら、放射線技師にお尋ねください。
医師紹介
星野 博信(ほしの ひろのぶ)
放射線科部長
専門分野 | 腹部放射線画像診断 |
取得資格 | 日本医学放射線学会放射線診断専門医 脳神経外科専門医・指導医 |
所属学会 | 日本医学放射線学会 日本胆肝膵外科学会 日本小児放射線学会 |