理事長あいさつ・病院長あいさつ
理事長よりご挨拶
2019年に始まった新型コロナウイルス感染症の猛威は一年を過ぎても未だに終息の見通しさえ見えない状況です。この間、当法人は感染者に対応するため、駐車場に発熱者専用診察室を設置しました。同時に関係機関の協力を得て2020年5月よりPCR検査体制を整え、積極的に発熱者の診療にあたりました。また従来は一日以上かかっていたPCR検査結果を短縮する為に、同年秋からは院内でPCR検査機器を導入し、即日に検査結果が出るようにして感染者の診療を続けております。
当院は丸山大司が昭和34年に小県郡丸子町上丸子(現上田市上丸子)に丸山医院を開業したことに端を発します。昭和40年に丸子中央病院となり、その後4期の増築工事を経て昭和60年には総合病院の認可を受け330床の「丸子中央総合病院」に名称変更しました。
丸山医院開業から60年が経過し、超高齢化など社会構造の大きな変化によって地域や医療の在り方が大きく変わりました。その変化に対応するために平成25年8月、上田市中丸子に新築移転しました。同時に新病院の名称を「丸子中央病院」に戻し、開業当時の原点に立ち返り地域に根ざした病院を目標に再スタートしました。療養環境も大事な治療と考え廊下と病室はゆとりあるスペースを確保し、大きな窓を配置した病棟の食堂からは浅間山、烏帽子岳を望めます。健診部門は9階に配置し、ホテルのようなゆったりした空間を目指しました。ドック専用ラウンジでは病院専属の山田康司シェフによる料理を提供し、多くのドック受診者の皆様より好評を頂戴しております。
医療の質を高めるため、公益財団法人日本医療機能評価機構による病院機能評価3rdG:Ver.2.0の認定を受けました。また医療従事者を対象としたAHA(アメリカ心臓協会)公認「BLS/ACLSコース」を定期開催しており、当院職員の90%以上が受講しています。また、一般の方を対象とした心肺蘇生法の普及活動「PUSHプロジェクト」も実施し、地域の救命率向上に取り組んでいます。
現在は新型コロナウイルス感染症の影響により多くの活動は休止していますが、それまでは院内で各種イベントを開催しておりました。このような状況下でもオンラインでの市民公開講座やYouTubeを使って医療情報の提供を続けております。また株式会社ツルヤ様と共同で山田康司シェフによる栄養のバランスを考えた、体に優しい美味しいレシピ「いきいきレシピ」をご家庭にお届けしています。
開院から60年以上が経過し、地域に即した医療・介護サービスは勿論、それ以外の分野でも当法人の理念である「地域のしあわせ創り」に全力で取り組んでまいりますので引き続き御支援、御協力をお願い申し上げます。
特定医療法人丸山会
理事長 丸山 和敏
病院長よりご挨拶
丸子中央病院の職員である私たちは「高度の医療を通じて地域のしあわせ創りに貢献する」との当院の「理念」を非常に大切に思い、その理念に少しでも近づけるように努力してきました。診療レベルやスタッフの練度は様々な領域で確実に向上していると実感しています。
さて院内職員はこの1年、寝ても覚めてもコロナ、コロナで明け暮れ、それに伴って診療や介護サービスも日々新たな対応を迫られました。
昨年2月末、感染症外来にてCOVID-19感染患者さんの診療と検体採取を開始しました。4月7日(火)に最初の緊急事態宣言が出された機会に、職員と患者さんの安全を考慮し、病院に接した駐車場に新型コロナウイルス感染症患者さんの診察を行うための発熱外来の整備を進めました。レントゲン診断装置、安全キャビネットなどを設置し、PCR検査装置を2台導入して、4月21日(火)より診療を開始しました。以来、PCR検査だけで4,000件を超えようとしています。上田地区のCOVID-19患者さんの数も日ごとに変化し、その都度発熱外来を訪れる患者さんの数もめまぐるしく変動しましたが、今まで無事乗り切ることができました。地域の方々からも「丸子中央病院があって安心だ」とのお言葉を頂戴しており、地域へ大いに貢献できているのではないかと考えています。専門外来を担当した医師、看護師を始めとした病院職員、応援していただいた市民の皆様に深く感謝します。
なお、昨年末からコロナに感染した患者さんの入院を受け入れるべく陰圧室などの整備を進め、現在準備は整っています。
病院の運営に今ほど柔軟な発想力が求められる時代は、ここ半世紀間無かったと言えるでしょう。当院は私立病院ですので、公的病院に比較すると経済的に厳しい立場におかれていることは言うまでもありません。その一方、経営判断は迅速に行われ、理事長の決済があれば決済当日でも実施できますから、今回の様な緊急事態への対応は公立病院と比較するとはるかに速く、今回はそのアドバンテージがより明確になったと思います。
今回の危機を経験して、病院にもっとも必要なものは、高い基礎的な能力を持ち、新たな事態に柔軟に対応できる人材であり、設備でも資材でもないことを改めて痛感しました。そして、当院ではそのような人材が、医療系、介護系、事務系を通じて確実に育っています。我々病院職員は、我々が担当する医療・介護も「地域のしあわせ創り」の一環と考えており、「地域のしあわせ度」が上昇するならば何でもしようと言うのが当院のスタンスです。その意味では、昨年設置した「医療と介護の総合相談ステーション」は地域の皆様の不安を取り除くのに大いに貢献していると評価していただいていますし、「発達外来」もこのような視点で、より充実するよう努力を続けます。
今後とも、地域とともに生きる「町民立病院」として、地域の皆様と歩むつもりです。よろしくご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
丸子中央病院
病院長 勝山 努