外科
特徴
当科では、「地域の医療ニーズに応える」という病院の基本理念を元に、地域医療に邁進するとともに、絶えず最新の医療を地域に提供するように心がけ、スタッフ一同、誠心誠意診療にあたっています。
外科領域における治療法の進歩は目覚ましいものがありますが、当科においても腹腔鏡手術を積極的に行っています。このことは地域の皆様にとっても大きな利益につながると確信しており、最新の手術設備を積極的に導入しております。
当院で手術を受けられる患者さんの特徴の一つとして、高齢の方が多いということがあげられます。一人一人の体調のみならず、治療に対するニーズや人生観に至るまで、人によって大きく異なります。これがいわゆる大病院での外科治療の提供と違った難しさであると感じています。
診療内容
外科の対象疾患
消化器癌
胃癌,大腸癌の手術治療、化学療法が診療の中心の一つとなっています。
特に大腸癌の手術治療においては、平成16年から 腹腔鏡手術を導入し良好な実績を残しており、最近では大腸癌の手術を受ける患者さんのうち半数以上の方に腹腔鏡手術を選択しています。
最近では抗癌剤などの癌化学療法も大きく進歩し、多くの方が再発予防や病気の治癒、緩和を目指して化学療法を受けられています。患者さんのニーズと一致する場合には、信州大学等が主催する臨床試験への参加もお勧めしています。
地域の方々に消化器癌治療や手術治療の進歩を確実に提供することを目指しています。
甲状腺疾患
甲状腺疾患に対して内科的治療から外科的治療まで幅広く対応しています。
その他の悪性疾患
今のところ数は少ないのですが、食道癌、胆管癌、胆嚢癌、膵臓癌、乳癌等の手術治療、化学療法を行っています。
特に専門性の高い領域や治療に人手が必要な領域においては信州大学附属病院や佐久総合病院等と連携し、当科では術後の主治医として関わらせていただいています。
胆のう結石、総胆管結石症
胆のう結石症の治療は腹腔鏡下胆のう摘出術を基本としています。総胆管結石症はなじみが薄いかもしれませんが、決して稀ではない病気です。内科医と連携の上、手術治療を行っております。
鼠径ヘルニア・大腿ヘルニア・腹壁瘢痕ヘルニア(脱腸)
成人の脱腸(鼠径ヘルニア)の手術治療を行っております。
それ自体は生命に関わるような疾患ではありませんが、飛び出して戻らなくなったり小腸壊死に至るなど、時として重症化することがありますので、「様子を見る」という方針は望ましくなく、早めに手術をするべきと考えています。
全身麻酔による腹腔鏡下手術や膨潤局所麻酔による手術を基本とし、体の状態とニーズに合わせた方法を選択しています。
盲腸(虫垂炎)
治療の基本は腹腔鏡下虫垂切除術です。
最近では確実な画像診断の下、抗生物質で治療を行う(散らす)ことも多くなっていますが、治療法の選択についてはご相談しながら慎重に決定いたします。
下肢静脈瘤
硬化療法、静脈結紮術、静脈抜去術等の治療方法があります。治療効果と体への負担、通院の頻度等をご相談しながら治療法を選択しています。最近では、古典的ではありますが最も治療効果の高い静脈抜去術を行うことが増えています。
痔疾患
内痔核の治療法として、薬物療法、硬化療法、手術療法(痔核切除術、PPH法)等があります。
最近ではジオンを用いた硬化療法(四段階注射法、ALTA療法)を導入し、患者さんの負担の軽減と同時に良好な治療効果を得ております。PPH法やALTA療法等、治療の進歩のおかげで患者さんの負担が少なくなってきていると感じられる領域の一つです。
その他
日常的なケガややけど等の一般外科診療を行っています。
診療実績
当科では、下記のような病気に対して腹腔鏡での手術治療を行っています。すべての方に腹腔鏡下手術が適応になるわけではありませんが、一度は腹腔鏡を念頭においた術式の検討を行うべきだと考えます。ご相談を希望される方は主治医に相談し、紹介状をお持ちになってご来院ください。
胃がん
最も多いのは胃の出口2/3を切除する方法(腹腔鏡補助下幽門側胃切除術 LADG)ですが、胃の上部を切除する場合(噴門側胃切除術)や胃を全部切除する場合(胃全摘術)もあります。すべての胃がんで腹腔鏡補助下手術ができるわけではなく、現在のところ比較的早い段階の胃がんに限って行っています。(学会のガイドラインに沿った適応としております)
大腸がん
腹腔鏡手術が日本国内において広く普及しつつある領域です。結腸切除術、直腸切除術・切断術など、がんの出来た部位により術式が変わりますが、切除する範囲や、吻合の仕方は開腹手術と同じです。これもすべての大腸がんで腹腔鏡補助下手術ができるわけではなく、学会のガイドラインに沿った適応としております。
胆嚢結石症・胆嚢炎
腹腔鏡手術の歴史はまず胆石の手術から始まりました。現在では胆嚢結石症の手術法の第一選択は「腹腔鏡下胆嚢摘出術」となっています。
総胆管結石症
総胆管結石は内視鏡的に取り除くことが多いのですが、それが不可能な場合には「腹腔鏡下総胆管切石術」の適応になります。
肝嚢胞
肝臓に袋を形成し中に水が溜まった病態を肝嚢胞と呼びます。これ自体は珍しい病態ではなく、放置しておいても癌化することはありません。しかし袋内に出血を伴ったり、破れたり、巨大化し痛みや圧迫症状を伴う時は「腹腔鏡下肝嚢胞開窓術」の適応になります。
遺伝性球状赤血球症・特発性血小板減少性紫斑病など
これらは比較的まれな病気ですが、治療経過の中で脾臓を摘出する必要が出てくる場合があります。腹腔鏡下脾臓摘出術の適応です。
小腸腫瘍
悪性腫瘍のみならず、平滑筋腫やGISTなどの良性腫瘍に対しても、腹腔鏡下小腸切除術を適応しています。
虫垂炎
虫垂炎(いわゆる盲腸)は腹腔鏡手術のよい適応です。傷の感染が少ないため入院期間は短く、手術翌日に退院できることもあります。(ただし炎症の程度にもよります。)
鼠径ヘルニア・大腿ヘルニア・腹壁瘢痕ヘルニア
手術後に再発したケースも含めて腹腔鏡下手術の適応になります。
その他
癒着性腸閉塞に対するイレウス解除術、胃・十二指腸潰瘍穿孔に対する手術、GISTや肉腫の切除術、肝細胞がん・転移性肝がんに対する肝切除術 など
医師紹介
杉尾 芳紀(すぎお よしのり)
外科系診療部長(1989年卒)
専門分野 | 消化器外科 内視鏡外科 一般外科 |
取得資格 | 医学博士 日本外科学会 認定医・専門医 日本消化器外科学会 認定医 消化器がん外科治療認定医 日本消化器病学会 専門医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 厚生労働省認定 臨床研修指導医 BLS/ACLS プロバイダー 身体障害者福祉法指定医(ぼうこう又は直腸機能・小腸機能障害) |
所属学会 | 日本外科学会 日本消化器外科学会 日本臨床外科学会 日本膵臓学会 日本胆道学会 日本消化器病学会 日本消化器内視鏡学会 日本内視鏡外科学会 日本がん治療学会 |
鈴木 史恭(すずき ふみたか)
専門分野 | 消化器外科 一般外科 |
取得資格 | 医学博士 日本外科学会 認定医・専門医 日本消化器外科学会 専門医 日本消化器外科学会 消化器がん治療認定医 日本がん治療認定機構がん治認定医 日本救急医学会認定ICLS・BLSコースディレクター 臨床研修指導医 |
所属学会 | 日本外科学会 日本消化器外科学会 日本臨床外科学会 日本消化器病学会 日本救急医学会 日本ヘルニア学会 |
佐々木 裕三(非常勤)(ささき ゆうぞう)
専門分野 | 甲状腺疾患全般 一般外科 |
取得資格 | 医学博士 日本外科学会専門医 日本内分泌・甲状腺外科学会専門医 日本甲状腺学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医 検診マンモグラフィ読影認定医 |
所属学会 | 日本外科学会 日本内分泌外科学会 日本甲状腺外科学会 日本甲状腺学会 日本消化器内視鏡学会 日本大腸肛門病学会 |